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10月18日(土)ジャパンプレミア in 輪島 〜能登に元気を!〜 舞台挨拶イベントレポート

10月18日(土)にジャパンプレミア in 輪島 〜能登に元気を!〜 が石川県輪島市で開催!
舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜、斎藤工、笹野高史、藤井道人監督が登壇し、舞台挨拶を実施いたしました。


 舞台挨拶の会場には、本作を心待ちにする700名近い来場者が詰めかけ、キャスト陣の登場を今か今かと心待ちにする一般客の熱気が漂う中、ついに舘をはじめとする豪華キャスト&監督が登場!キャスト陣が客席からの拍手や声援に笑顔で応えながら、レッドカーペットを闊歩した。

 撮影以来、約2年の時を経て遂にこの能登の地で初お披露目となった本作。まずはキャスト陣に向け、再び能登へ戻ってきた心境についての質問が。舘は「本作のプレミア上映はこの輪島でやりたかったんです。輪島での上映が実現して本当に良かったです」と今の率直な心境を打ち明け、眞栄田も「(輪島には)昨日からお邪魔させていただいていますが、接してくださる皆様から力をもらうことばかりで。皆様の声がパワーになりますし、この映画が少しでも皆さんの力になれば嬉しいなと思います」と思いを寄せる。尾上も「大勢の皆さんに映画を見てもらえるということで嬉しいです、楽しんでください」と微笑み、黒島も「皆さんの声援が本当に温かくて優しくて…すごく感動しています。輪島での撮影期間は短かったのですが、当時は海の方を散歩してみたり、街の雰囲気はいまでも覚えています。明日の朝はゆっくりして帰りたいなと思っています」と笑顔を見せた。一方、斎藤は自身発案の移動映画館「cinéma bird(シネマバード)」の上映会で奥能登へ訪れていたそうで、「もしかすると仮設住宅からいらした方もいるかと思いますが、震災後にあった豪雨の被害も他県には届いていないくらい厳しいものが未だにあって、実際に来てみないとわからないことが多くありました」と気づきも多かったという。「自分より大変な人に対して、“あの人がもっと大変だから、自分は大丈夫”という方たちばかりで。そんな奥にあるSOSを関わった人間としてキャッチすべきだなと思いますし、(舘演じる)三浦はまさに他者を自分以上に深く思うということを体現している人物です。この映画が輪島を中心に作られることが必然だったなと、皆さんの顔を見ながら感じています」と自身の思いを告白していた。震災後に舘が能登で行った炊き出しに加わったという笹野は、「無理やり僕も(能登へ)連れていってもらったんですが、皆さんの方から“ありがとう”という色紙をいただいたりして。逆に勇気づけられたと言いますか、たくさん元気をいただきました。あの時作った焼きそばを食べてくださった方もいたりするのかな。その節は本当にありがとうございました」とお礼を述べた。そして藤井監督は「1ヶ月以上の期間、撮影準備から街の方々にご協力いただきました。今日は朝市通りを歩きながらたくさんのエキストラの方に協力していただいたことなどいろんなことを思い出しながら、街の皆さんのおかげでできた映画だなと感じました」としみじみ振り返っていた。

 今回7年振りに映画単独主演を務めた舘は、企画の立ち上げから本作に参加。舘にとっても並々ならぬ想いが詰まった作品であることが伺えるが、「僕は『ヤクザと家族 The Family』で藤井監督とご一緒して、もう一度藤井監督と一緒にやりたいという思いがありました。藤井監督にお願いをし、今はもう亡くなってしまった河村(光庸)プロデューサーに“何か企画を立ててほしい”と相談しました」と企画の成り立ちを説明する舘。「いろんな企画がありましたが、僕はやっぱりヤクザものがやりたくて。最初はなかなか思い通りにいかないこともありましたが、最終的にはこのような素晴らしい物語になって良かったです」と手応えをにじませる。
 目の見えない少年・幸太の青年期を担ったのは、眞栄田郷敦。舘とは『ゴールデンカムイ』以来、念願の再タッグがかなったが、眞栄田は「舘さんと出会って、男としても役者としても、本当に価値観が変わりました」と告白する。「今回は舘さんが主演ということで、言葉以上に“主演はこうあるべき”というのを背中で見せていただいたなというのは感じました。気配りや優しさ、ユーモアもあって、本当に素敵な方だなと改めて思いました」と愛を垣間見せる眞栄田の言葉に、舘も思わず「ありがとうございます」と照れくさそうにはにかんでいた。
 幸太の少年期を演じたのは、本作で映画初出演を果たした新星俳優、尾上眞秀。心に深い傷を抱えた盲目の少年という難役への挑戦となったが、撮影の思い出について「スタッフさんの皆さんと関わることができて楽しかったです」と微笑ましい思い出を振り返る一方、「監督と(キャメラマンの)木村大作さんと攻防していて…」とまさかの暴露が飛び出す場面も。監督は「成長しました(笑)」と思わず照れ笑いを浮かべながら、「自分も来年で40代に入り、これから自分が映画業界でできることはなんだろうと考えた時に、先輩たちから教わること、この映画のテーマにもなっている“継承”ということがあって。リスペクトして尊敬して学んでいく、それを下の世代に伝えていくということをやりたいと考えていたので、この攻防は必然だったと思います(笑)とても実りのある時間でした」と心のうちを明かしていた。

 大人になった幸太の恋人役を演じたのは、黒島結菜。黒島は撮影について「長く段取りをしながら、どういうシーンにしていくかというのをじっくり決めて行ったなという印象です。その時間があったから自然な流れで撮影できたなというのがあります」と振り返り、「藤井監督の現場は何度もじっくり1つのシーンを作り上げていく。それはキャストだけではなくて、美術もそうですし、ちょっとした小道具やセットの中にある何かだったり、1つ1つを大事にしているのが藤井組だなと。藤井監督の作品は毎回とても楽しいです」と語り、微笑んでいた。
 三浦と対峙するヤクザ役にも豪華俳優がキャスティング。河村組組長・石崎の舎弟で三浦に敵意を見せる八代を演じたのは、斎藤工。髪型は両サイドを刈り上げ、眉毛は剃り落とすなど徹底した役作りで本作の撮影に挑んだ斎藤だが、「藤井監督の作品で(木村)大作さん、そして舘さんと、とてつもない現場に立ち会えるという興奮の中で、もう喰らいつくしかないと思って」と喜びを表現する。「監督から(自身が演じる)キャラクターのイメージについてアドバイスをいただいて、眉毛も剃ったりしたんですが、剃った後に生えてこない場合もあると聞いて…でもかろうじで生えてきて良かったです(笑)」とまさかのエピソードが披露される場面も。
 孤独な三浦や幸太に寄り添い、何かと気に掛ける荒川役を演じたのは、笹野高史。本作では三浦と幸太の12年にも及ぶ絆と友情の物語が描かれるが、この年月を表現するために笹野は「私は普段から年上に見られてしまうので(笑)最初はちょっと若でもく演じられたらと思っていたんですが、どうやってもおじいさんで…」と自虐的にコメントし笑いを誘いながらも、「(12年の時の流れを)この顔でどう表現すればいいんだろうかと密かに悩むこともありました」と役作りにおいては苦労することも多かったそう。さらに笹野は「エキストラの皆さんもそうですが、忘れてならないのはカモメ!」と意外な名脇役の存在を明かし、「カモメたちが実に良い演技をするんですよね。ぜひカモメにも注目してみてください」とアピールしていた。
 そして監督を務めたのは、藤井道人。主演を務めた舘とは『ヤクザと家族-The Family-』以来のタッグとなったが、舘について「まるで父のよう」と表現する藤井。「本当に優しくて、たくさんのことを教えてくださるんですよね。石原プロ時代のモノづくりの話や、大変面白い映画体験を優しく教えてくださって。今回も楽しかったなという思いでしかないです」と感謝の言葉を寄せる。一方、本作で初タッグとなった眞栄田については「10代の頃から注目していて、いつかご一緒できればと思っていました」と告白し、「こんなに達観していて頭が良い20代の俳優はいないです。真面目で優しくて、でもヤンチャで。次はどんな役でオファーしようかなと日々悩んでいます」と太鼓判を押していた。

 さらにイベントの終盤では、輪島市長・坂口茂から花束の贈呈が行われた。代表して舘が花束を受け取ると、坂口市長は「この映画の中では震災前の美しい北陸の情景がたくさん収められていると聞いております。昨今では珍しい35mmのフィルムカメラで収められていると聞いているので楽しみです」と映画への期待を寄せながら、「昨年の能登半島地震、そして豪雨によって撮影された場所も大きく被災し、甚大な被害を受けております」と今の被災地の現状を説明する。「メインの舞台となった大沢漁港も地震と豪雨で被災が大きく、大沢町もまだまだ復旧復興の途中ではありますが、この映画が大沢地区をはじめ輪島市、そして能登地域の復旧復興の大きな光となることを願っています」と思いを明かすと、会場からは温かい拍手で包まれた。

 最後は本日行われたイベントに参加した来場者、そして映画を心待ちにするファンの方々に、代表して舘から挨拶。「藤井監督をはじめ、木村大作さん、ここにいる素敵な俳優の皆さんがこの映画に参加してくれました。本当に素晴らしい映画が完成したと思います。最後まで楽しんでいただければ幸いです、本日はありがとうございました」と力強くも温かい言葉を寄せ、イベントは締めくくられた。

10月18日(土)ジャパンプレミア in 輪島 〜能登に元気を!〜
【第一部】ロケ地 輪島・朝市通り 再訪レポート
【第二部】能登・福幸(ふっこう)フェスレポート

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